「月蔭から聞こえる音楽」

1973年に「幻想と怪奇」に載ったキャベルの翻訳作品が「月蔭から聞こえる音楽」(山田修訳)である。これもまた《マニュエル伝》に属する作品。原題はMusic from Behind Moonという。『ジャーゲン』や『イヴのことを少し』に登場して重要な役割を演ずるある登場人物がここにも出てくる。これがあの人かと思いながら読むと楽しいのである。

「コリンナについて」

ジェイムズ・ブランチ・キャベルの作品は僅かながら日本語に訳されている。いちばん新しいのは「幽 vol. 19」(2013年)だろう。これもまた《マニュエル伝》に属する作品である。実在の人物が登場して、妖魔に魅入られて異界に引き込まれる話。この連載は毎回著者名が表紙にも目次にも登場しないので、重要な作家の翻訳を見逃しやすいのだ。

これは短篇集The Certain Hourの収録された一篇。読んでいないけれども、面白そうである。あまり評判にはなっていないと思うのだが。下に掲げた本の表紙絵は、Frank C. Papéが描いたものである。これを見て期待してページをぱらぱらと捲ってみたら、中には一枚もイラストがなかった。残念。